悠久の時の流れを感じられる場所
子ノ口からおよそ7.7kmの地点に、馬門岩と呼ばれる巨大な断崖があります。渓流の両側に高く聳え立ち、まるで門のように見えることからその名が付けられたという説もあります(諸説あります)。黒っぽく見える岩肌を見上げると、大きな直方体の岩石が規則正しく積み上げられているようにも見えます。これが節理と呼ばれるもので、溶岩が冷えて固まる際にできるそうです。
奥入瀬渓流では、100万年以上前から活動している八甲田火山群と、約20万年前から活動している十和田火山群の噴火に伴う火砕流が、幾度となく流入していたと考えられています。このうち、約76万年前に起こった八甲田第一期火砕流が冷えて固まったのが、この馬門岩です。至る所に苔が生え、岩の隙間に根を張って大きく樹木が生長した現在の姿を見ていると、遥か遠い昔に、想像を絶する壮大なネイチャードラマが起こったとされる場所に立っていることが、とても不思議に思えてきます。
また、冬になると岩肌から染み出した水が凍りつき、馬門岩全体を覆う氷瀑となります。奥入瀬渓流にいくつも存在する大小の滝が、それぞれ氷瀑となり、冬ならではの神秘的な世界を楽しむことができるそうです。
(参考)
・NPO法人奥入瀬自然観光資源研究会.奥入瀬渓流自然遊歩マップ., 2020,
・気象庁WEBサイト.“東北地方の活火山” https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/sendai/volcanosn.html,