ロゴマーク
松倉神社
湖畔に佇む小さな祠

湖畔に佇む小さな祠

伝法さんに十和田湖周辺を案内してもらう日の朝。寄ってみたい場所があったので、少し早めに出発しました。それは、「松倉神社」という小さな祠。国道103号沿いの、湖畔にひっそりと存在する不思議な場所でした。

十和田市を出発し、奥入瀬渓流の観光道路を抜け、子ノ口のT字路を左へ進みます。そこから宇樽部へ向かう道のちょうど中間付近に、松倉神社の入り口があります。

国道沿いの鬱蒼とした林の中に溶け込むように立っている小さな鳥居が神社の目印ですが、車でぼんやり走っているだけでは気づかずに通り過ぎてしまいそうなほど。飾り気のない、細い木製の鳥居は、不思議な威厳を感じさせます。この静寂に包まれた湖畔で、この飾り気のない素朴な鳥居が、神聖な場所への入り口なのです。

鳥居
小さな祠と狛犬

鳥居をくぐり、湖に向かって伸びる道を少し歩くと、一対の狛犬と小さな祠が見えました。決して平坦ではない岩場の上に鎮座する石の祠には、真新しいお酒のカップがいくつかお供えしてありました。よく見ると左右の狛犬も、ごく新しいものです。入口にあった鳥居も、20年ほど前に地元の方によって奉納されたようで、この松倉神社は現在も非常に大切にされているのだということがわかります。

祠のある場所は、かつての古道、五戸口道を歩いてきた参詣者にとって最初の占場です。この岩場に立ち、対岸に望む御倉半島を目にすると、長く険しい参詣道を歩き、霊場十和田湖の神域にようやくたどり着いた参詣者の苦労と喜びが少しだけ感じられるような気がしました。しかし、参詣の目的は十和田霊場の中心である十和田神社のある場所です。ここからさらに10km以上の山道を歩かなければなりません。

対岸に望む御倉半島

(参考)
・斉藤利男.霊山十和田 忘れられたもうひとつの十和田湖.文化出版, 2018,
・湖畔ドライブインWEBサイト.“松倉神社のパワースポット” https://kohandrive.wixsite.com/kohantop/grid/,

鳥居